ビルディングタイプWG #03これからの医療建築

医療施設における新たな価値の提案

医療施設は社会的動向が影響しやすい施設です。

特に、新型コロナウイルス感染症の拡大は医療施設における感染対応の考え方を大きく変えるきっかけとなりました。
また、医療従事者の不足や、人口減少など医療を取り巻く環境は日々変化しています。

これからの医療施設は環境への配慮に加えて社会的動向に対応する新しい付加価値を組み合わせた提案を行うことが重要と考えます。

感染対応
コロナを経た感染対応としての「個室ニーズ」への対応

コロナを経て感染対応というキーワードから特に「個室」に対するニーズがより高まっています。

病室は窓が必要なため、必ず外壁に面することになり、
「個室率が高まる」=「熱負荷を受ける外壁面が増える」ことになります。

この個室ニーズと省エネ性能を両立していくため、これまで以上に、病棟・病室に対する、外壁の断熱性能向上、適切な窓の大きさの検証、日射遮蔽等に配慮した提案を行っていきます。

開口形状の違いによる空調エネルギー試算

医療従事者の不足
医療人材を守りつつ環境負荷を低減する

これまで医療施設は感染防止を念頭に、各室毎に給気と排気を完結させる前提としていました。

しかしながら、環境性能を向上させるためには、いかに換気量を抑制するかが重要となります。

これからの医療施設では医療従事者エリアから患者エリアへの空気の流れを構築するなど環境性能の向上と安全性確保を両立させるための新たな提案を行っていきます。

省エネと医療スタッフの安全の両立を目指すべく「医療従事者側へ給気、患者側から排気」という流れをつくる。

また、医療従事者が集中できる照明環境の整備も求められています。
視環境の確保と環境性能の向上を見据えた実用的・効果的な照明制御の積極的採用を提案していきます。

視認性と明るい印象を与える照明環境の例

人口減少
将来的な患者数の減少と敷地余力の活用

従来、医療施設は車での利用者のニーズが大きく敷地に占める駐車場面積の割合が高いものでした。
しかし、今後は人口減に伴う患者数の減と地域環境への配慮により、医療施設への車の利用が大きく減少すると考えます。

そこで生まれる敷地の余力を活用し、
リハビリにも利用できるや庭園の整備や地域貢献も踏まえた積極的な緑化を提案していきます。

また、空調エネルギーの搬送ロスを低減するため室外機を近傍に配置することで効果的にエネルギー消費量の削減を図るという新たな提案の可能性に挑戦していきます。

熱源の搬送ロスを最小化する建物構成へ