既存ストックを活用した価値創造
2024年4月から大規模(2000㎡以上)な非住宅建築物の省エネ基準が改正され、新築・増改築を行う建築物については、省エネ基準適合が義務付けられることになります。
ZEB化の法的基準が引き上げられることで環境性能の低い建物はその価値が毀損されることになります。
当社は、新築建物のZEB取得への取り組みを進めるとともに、既存建物の改修によるZEB化を推進し、建物の価値向上に取り組みます。
既存ストックの環境性能向上に関する提案概要
ZEB化可能性検証
竣工から20年以上が経過した建物において、空調機や熱源機器の更新が望ましい時期に差し掛かったタイミングで、建物のZEB化の可能性について検証します。
目標環境性能の設定
運用方法の改善や既存建物の特性に配慮した改修によるBEI値やBPI値を高める環境性能向上の検討を行い、目標の環境性能を設定します。
工程・コストの提案
目標の性能を達成するために必要な工程・コストの提案を提示します。
提案フロー
概算値算出の条件の例
- 算出方法
- 標準入力法をベースとし、既存3階を入力し、3階の情報を1~2階、4~14階に適用します。(1階の厨房、2階の吹抜け、14階の機械室は事務所部分として算出。)
- 入力情報
- 各BEI値のうち、事務所ビルで大半を占める、空調設備と建物毎に数値が大きく異なる外皮性能は図面(竣工図)より実際の数値を入力する。換気設備、照明設備、給湯設備、昇降機設備は、簡易算出方法※で入力。
※簡易算出方法は、山下設計が類似用途から算出した基準値を用いています。
現況の環境性能(BEI・BPI)の提案
BEI:エネルギー消費性能計算プログラムに基づく、基準建築物と比較した時の設計建築物の一次エネルギー消費量の比率。
BPI:省エネ法改正に伴い設けらたれ PAL*(外皮基準の指標)により算出される年間熱負荷の基準。
現況の環境性能評価
- BEI値は現状の省エネ基準の1.0を下回っているが、2024年4月以降の基準では基準外となる。
BEI値を下げるためには、空調機器、熱源の機器更新時にダウンサイジングの検討が必要。
- BPI値の数値が高い。外装はlow-E ペアガラスであるが、ガラス面が大きく、東西面にガラス面が面していることが要因と考えられる。また、ガラス面が大きいため、空調負荷も大きくBEI値に影響している可能性がある。
提案1 BEI値:0.8以下を目標
空調機や熱源の改修にからめた、運用方法の再検証
提案2 BEI値:0.6以下を目標
提案1に合わせて、外皮性能を高め、空調負荷を下げることで、空調機・熱源の機器のダウンサイジングを高める。また、空調方式や熱源変更の検討。
- 照明負荷低減(LEDのため16W /㎡ → 6W /㎡ 程度)
- OA電源負荷低減(40W /㎡ 程度 → 25W /㎡)
- 人員密度による負荷低減(0.2人 /㎡ → 0.15人 /㎡)
- 上記反映による空調機・熱源の更新(ダウンサイジング)
- ガラス面に内壁をつくる。
(外皮性能向上、ペリメーターの空調負荷低減)
- 照明器具の変更(人感センサー付等)
- 空調方式の検討(単一ダクトから個別空調)
- 熱源をガスから電気への検討
環境性能の算出フロー
既存ストックの有効活用について、環境性能向上やZEB化だけではなく
耐震改修、コンバージョン、室内環境のウェルネス化など
複合的な提案により建物に新たな価値を生み出します。
STEP1(今回提案)
現況の環境性能
概算算出
- 環境性能の目標となるBEI値を概算で算出
- 削減目標の作成(提案1,提案2)
3WEEK
STEP2
環境性能の
目標設定
- BEI値の目標を0.8、0.6どちらにするか。
- 建物をZEB化し、BELS認証を必要とするか。
(認証をとる場合、算出方法が異なる場合あり。)
STEP3
詳細算出1
(標準入力法)
- 今回提示(STEP-1)の数値は、概算値であるため、標準入力法で外皮性能や各階の空調、換気、照明、給湯、昇降機のエネルギー消費量を入力し計算する。
3WEEK
STEP4
詳細算出2
(標準入力法)
- 詳細算出1の数値をベースに、提案1 or 2を検討・設計する。設計を元に標準入力法で計算する。
2WEEK