建築物は必ずしも長寿命である必要はなく、時代や社会のニーズの変化に対して、適した在り方が求められます。
長寿命ありきの建築は、時代の激しい変化に対応できずに、場所の可能性を限定し、時には意に反したスクラップアンドビルドに帰結することもあります。
山下設計は、刻々と変化する社会のニーズに対応するためのひとつの答えとして、
その場所に永続する建築ではなく、限定した期間の運用のための建設と解体、およびその後の再生利用などの過程に価値を置いた仮設建築を提案していきます。
仮設建築は、建設から解体・撤去に至る期間が短いため
一般的な建物と比較して、運用時の環境負荷を削減しても、大きな効果が得られにくい傾向があります。そのため、使用後の経年劣化が少ない資材をどれだけ多く有効活用できるかが、地域環境に与える負荷の抑制に貢献する上で重要となります。
山下設計は、仮設建築における建設・運用・解体・再生のすべのプロセスにおいて
3R(リデュース・リユース・リサイクル)を徹底することで、地域環境負荷の低減に挑戦しています。
仮設建築は目的が達成された後、解体する必要があります。
解体後の資材の3R(リデュース・リユース・リサイクル)率を高めるためには
一般的な材料を活用する(ローコスト)・種類を限定する(ミニマム)・加工少なくする(シンプル)を原則としたディテールを設計段階で徹底的に突き詰めることが重要です。
山下設計は、施工・解体手順や、解体後の資材の形状、リースの活用を考慮したディテールを仮設建築に留まらず通常の建築物においても流用し、単体の建築物のライフサイクルを越えて、社会的な資材を循環させることを目指しています。
伊勢志摩サミット国際メディアセンターアネックスでは、さまざまな工夫により
3R(リデュース・リユース・リサイクル)率99%以上を実現しました。
この結果は仮設建築が廃棄の対象ではなく再生し次の役割を担うことができることを証明しています。
山下設計は、オリンピックや万博など、期間が決められたイベント施設だけではなく、
街中の空き地に暫定的につくられる地域のための施設などにおいて、
3Rを見据えた仮設建築の計画を行うことで
設計・建設を通して、循環型社会に貢献していきます。