ライフサイクルWG #04建築の保存

保存ー歴史的価値のある建造物の活用

建造物は必要な機能を満たすだけではなく、地域に根付き歴史的・文化価値を包含するものです。しかし、長い年月を経た建造物は耐震性の問題や時代の変化により求められる用途・機能とのミスマッチが生じ、惜しまれながらも取り壊される場合があります。

山下設計は、このような地域にとって貴重な建造物を保存し、使い続けることができるようにするため、安全性を確保し現代のニーズにあった施設への転換を提案していきます。

保存と改修で「生きた建築」として使い続ける

既存建造物を有効に使い続けるためには、既存そのままの姿を残すのではなく、歴史的・文化的価値を見極めるとともに、改修後に求められる施設の条件を整理し、既存部分で賄える範囲と新しく増築して対応する範囲の設定が必要となります。

山下設計は、耐震補強や免震レトロフィットなどの今まで培ってきた構造技術と、新築建物における環境技術を活かした改修提案により、 既存建築物を「生きた建築」として使い続けることを目指します。

既存施設保存・解体範囲
西側外観:外観補修された既存部分とガラス張りの増築部分の取り合い

現代のニーズを踏まえた新しい価値の提案

歴史的建造物を活用していくためには、単に現状の機能を維持するのではなく、現代の生活や文化に適応させ、継続して使用される施設とすることが重要です。そのためには、建物の持つ歴史的・文化的な価値を十分に生かしながら、地域に必要とされている新たな付加価値を生まなければなりません。

山下設計は、設計を通して、今までの建物が持っていた価値を継承しながら、永く地域に親しまれる新たな価値を併せ持つ具体的な空間イメージを提案していきます。

歴史的意匠を保存したレストラン 構造補強のため内装を全面撤去し、材料の再利用を図りながら保存・復元を実施 
左側増築部は透明性の高い明るく現代的な空間、右側既存部は旧建物の中庭側壁面を保存

歴史的建築を媒介とした周辺地域への貢献

歴史的な建物の多くは都市の中心部に位置している場合が多く、これらは都心部に新たな賑わいを創出する可能性を持っています。

山下設計は、その土地の持つ歴史や場所の特徴を読み解き、隣接する施設や周辺環境との繋がりを生かすことで新たな文化や交流を生み出すことを提案します。

跡地を隣接する公園や城址と繋がる広場・緑地として整備し、新たな賑わいを生む場を創出
既存建物解体後にできた広坂緑地と回遊性を誘導する「せせらぎ」でのイベントの様子